自然の造形美とアヴァンギャルドな技法が交差する、シュガーアップル・シェルハットの舞台裏
南国の果実「シュガーアップル」のゴツゴツとした表皮を着想源に、ワークスペースを彩る彫刻的なヘッドプロダクトができるまでの制作ストーリー。
朝の光が低い角度からアトリエの作業台へと差し込み、一見すると不釣り合いなふたつの品を映し出します。街角の果物屋で手に入れた熟したシュガーアップル(釈迦頭)と、まったく同じ突起模様をまとった造形的なヘッドピースです。
私たちは何ヶ月もかけて、この独特なテクスチャの再現に没頭してきました。自然界の造形は、計算なしに完璧な幾何学を描き出します。鱗のように規則正しく重なり合うシュガーアップルの表面には、どこか建築的なリズムが宿っています。光の差し込むデスクに置かれたこの「シュガーアップル・シェルハット」は、自然の不均一な美しさと、モダンで洗練されたミニマリズムを心地よく結びつけています。
果物屋の店頭からデスクのプロトタイプへ
蒸し暑い火曜日の朝、すべては始まりました。果物屋の店頭でふと手にとったシュガーアップル。その節々の重なり合いに一目で心を奪われたのです。従来の帽子といえば、なめらかなフェルトや編み込んだストロー素材が主流ですが、私たちが求めたのはもっとエッジの効いた表現――光と影を受け止め、表情を刻々と変える身にまとうアートでした。
この不規則なテクスチャをプロダクトに落とし込む作業は一筋縄ではいきませんでした。果物の皮をそのまま帽子のフレームに貼り付ければ済む話ではありません。美しさだけでなく、構造としての強度、軽さ、そして全体の均衡が求められます。そこで開発の初期段階から取り入れたのが3Dプリント技術でした。デジタルで試作を繰り返すことで、各突起のサイズ感を緻密に調整し、重苦しさを感じさせないシルエットを実現しました。
- フェーズ 1: 果実の表皮を高精細スキャンし、そのデータを元に直接デジタルスカルプティングを実施。
- フェーズ 2: FDM(熱溶解積層)印刷で試作品を作成。ディスプレイヘッドに載せ、サイズ感や着用時の重量バランスを検証。
- フェーズ 3: 高精細なレジン印刷のマスターモデルを用い、突起と突起の間に刻まれた繊細な溝まで克明に再現。
空間を引き締める、アヴァンギャルドなシルエット
こうして生まれたのが、アトリエのオブジェとしても、存在感を放つヘッドウェアとしても機能するアヴァンギャルドなシルエットです。優美に弧を描くクラウンが突起のボリューム感を適度に和らげ、流れるようなブリムへと滑らかに繋がります。朝の光が届くと、凹凸の隙間に深い影が落ち、まるでプロダクト自体が呼吸しているかのような躍動感が生まれます。
これは、私たちが手がけるカスタムプロダクトデザインにおける一つの到達点でもあります。光あふれるオフィスの木製トルソーに飾っても、ギャラリーのオープニングパーティで身につけても、この帽子は見る人のインスピレーションを刺激し続けます。素晴らしいデザインは難解な理論の中ではなく、街の果物屋の店頭で新しい命を吹き込まれるのを待っている――そんなことを教えてくれるプロダクトです。
FAQ
シュガーアップル・シェルハットは被ると重いですか?
見た目は重厚感がありますが、非常に軽やかです。開発初期に行ったFDMプリントでの検証を通じて内部を空洞化する設計を採用したため、頭部に負担をかけることなく快適に着用いただけます。
サイズやカラーのカスタムオーダーは可能ですか?
はい、可能です。当ブランドのカスタムプロダクトデザインのプロセスを通じ、内径の調整によるジャストサイズのお仕立てや、アトリエの雰囲気に合わせた手作業のマット仕上げ・トーン調整などに対応しています。
完成品にはどのような素材が使われていますか?
高精細な光造形レジンのマスターモデルから製造用金型を起こし、軽量かつ耐久性に優れたバイオレジンをキャスト成形しています。最終仕上げとして、手作業でのサンディングとコーティングを施しています。
ディスプレイ方法やお入れの方法を教えてください。
直射日光や厳しい屋外環境を避け、木製のヘッドブロックや平らな棚に保管してください。突起の間のホコリを取り除く際は、毛足の柔らかい乾いたブラシでやさしく払ってください。