デスクのノイズを美しく隠す。古洋書を模した収納ボックスをつくった理由
雑多な小物をすっきり片付け、創作への集中力を高める。毎日の道具を静かに忍ばせるブック型収納ボックスの誕生ストーリー。
デスクに散らかった小物は、思考のノイズになります。プロトタイプのスケッチや執筆に没頭している最中、ふと視線に入り込むケーブルの絡まり、転がるSDカード、使いかけの付箋。作業環境のノイズを隠したいけれど、オフィス用の安っぽいプラスチックケースで妥協したくはない。そんな思いから、この収納ボックスのアイデアは生まれました。
古書堂の棚から、作業デスクの上へ
ヒントを得たのは、雨の日に訪れた古本屋でした。重厚な革装の百科事典に挟まれるように並んでいたのは、中身がくり抜かれたヴィクトリア朝の帳簿。かつて誰かが手紙を隠すために使っていたその本は、静けさを纏いながら棚に佇んでいました。「凛とした美しい佇まいの裏に、確かな実用性を秘める」。この対比に魅せられたのが始まりでした。
私たちが目指したのは、洗練された空間に馴染む現代のオーガナイザーです。数ヶ月で剥がれてしまうチープな撮影小道具のようなものではなく、細部まで妥協しないプロダクトデザインを追求しました。本棚のハードカバーと並べても、ノートPCの横に置いても違和感のない、上質なコレクターズアイテムのような絶妙なサイズ感に仕上げています。
現代の精密技術が生み出す造形美
背表紙の立体的なバンドや、重ね合わさった小口(ページ端)の質感を再現するため、何度も試作を重ねました。デジタルCADデータを手にとったときに重厚感のあるプロダクトへと具現化するため、製造プロセスには3Dプリント技術を採用しています。
本体の堅牢なベース構造には、耐久性と適度な重量感を持つ高品質なFDM方式(熱溶解積層法)を採用し、毎日の開閉に耐える強度を確保しました。一方、フロントの留め具や背表紙の細やかな文様には、微細な造形が可能な光造形(レジンプリント)技術を用いています。2つの技法を組み合わせることで、強固な構造とスムーズで精密な動作パーツの両立を実現しました。
毎日のワークスルーに自然と溶け込む
朝の作業を始めるシーンを思い浮かべてみてください。デスクマットにお気に入りのコーヒーカップを置き、ごちゃごちゃした引き出しを探る代わりに、本棚に並ぶ一冊の装丁本へと手を伸ばします。
マグネット式のカバーをサッと開けば、必要な道具が美しく収まっています。
- 万年筆やApple Pencil、製図ツールが収まる専用スロット
- USBメモリや変換アダプター、SDカード用の浅型コンパートメント
- ポケットサイズの手帳や小物を傷つけずに保護する、柔らかいフェルト敷きのスペース
パチンと蓋を閉じれば、デスクの視覚的ノイズは一瞬で消え去ります。整然とした空間が生まれ、深い集中へとスムーズに入り込むことができます。
FAQ
内寸と外寸の具体的なサイズを教えてください。
外寸は約21.5cm×26.5cm、背表紙の厚みは約5.6cmで、一般的なハードカバー本と同等のサイズ感です。内寸は約17.8cm×22.8cm、深さ約4.4cmとなっており、小型ノートや各種ケーブル、ペン類、ガジェット小物をゆったり収納できます。
なぜ2種類の3Dプリント方式を組み合わせているのですか?
パーツごとに求められる特性が異なるためです。外側のボディには、優れた強度と紙の小口のような自然な風合いを生み出すFDM方式を採用。留め具や背表紙の装飾部分には、コンマ数ミリ単位の精度が出せる光造形(レジン)方式を使用することで、パーツ同士のスムーズで心地よい噛み合わせを実現しています。
背表紙の文字変更など、カスタムデザインの注文は可能ですか?
はい、対応可能です。3Dデータ設計からプリントまで自社で一貫して行っているため、スタジオのオリジナル仕様、記念品、法人向けギフト用として、背表紙の刻印や表紙エンブレムのカスタマイズを承っています。
日常のお手入れや保管方法はどのようにすればよいですか?
お手入れはとても簡単です。表面のほこりは、乾いたマイクロファイバークロス(または固く絞った布)で優しく拭き取ってください。強い化学洗剤の使用や、直射日光が長期間当たる窓辺での保管はお控えください。