洋梨型の身を纏うアコースティックギター——既成概念を破る一本が、スタジオの空気を変えた理由

洋梨型アコースティック:クリエイティブ・スタジオのためのギター形状の再考

造形美と響きが交錯する場所。木製カスタムギターの制作プロセスから、音楽的インスピレーションを生み出すプロダクトデザインの裏側を紐解く。

⏱ 制作时间: Over 20 hours
3 Dプリント モダン PLA ( FDM印刷) オールインワン印刷( FDM ) 玩具

定番のドレッドノートからの脱却

大抵のレコーディングスタジオに足を運ぶと、どこも似たり寄ったりの光景にでくわします。壁のハンガー、無難なドレッドノート型のギター、そして絡まるXLRケーブルで埋もれたデスク。見慣れたそのシルエットに、少し飽きがきていました。伝統的なギターのボディ形状が素晴らしい音を奏でるのは間違いありません。しかし視覚的なデザインとなると、約1世紀ものあいだ同じパターンを繰り返しているに過ぎません。

マイクの電源を入れる前に、まず一歩離れて眺めたくなるオブジェのような存在感を持った楽器を作りたい——。そう考えたときのヒントになったのが、ルネサンス期の古楽器リュートと、スタジオのトレイに置かれていた洋梨の柔らかな曲線でした。上質な木材による豊かな音量を維持しながら、洋梨の優美なボトムラインを現代のスチール弦アコースティックに取り入れられないだろうか、と。

デジタルプロトタイプから、ぬくもりある木材へ

非対称な洋梨型のサウンドボックスで理想の音響特性を得るのは、一筋縄ではいかない課題でした。従来の曲木用治具は使えません。そこで活躍したのが最新のデジタルツールです。初期のカスタムプロダクトデザインの段階で3Dプリンティングを取り入れ、内部音響室の設計や、身体へのフィット感を細かく検証しました。

スプルースやウォルナットの原木を削り出す前に、まずはフルスケールのFDM 3Dプリントで試作し、ストラップで吊るした際の重量バランスを確認しました。さらに、ブリッジピンブロックやロゼッタ(音孔装飾)の型といった緻密な部品には、高精細な光造形(レジンプリント)を活用。手削りの木材が持つ温もりを損なうことなく、試行錯誤にかかる時間を大幅に短縮できました。

夕光に映える美しき創造の源

南向きの窓際、素朴なオーク材のスタンドにこのギターを立てかけるだけで、部屋全体の雰囲気が一変します。斜めから差し込む夕光が、美しく広がるボディの下部を照らし、オイルフィニッシュを施した木目の深い表情を浮かび上がらせる。思わず手を伸ばし、弦を爪弾きたくなる瞬間です。

創作空間において、この変形ボディが真価を発揮する理由は以下の通りです。

  • 引き締まった中音域: 絞り込まれたアッパーバウト(ボディ上部)とふくよかなロワーバウト(ボディ下部)の組み合わせにより、ボーカル用マイクと相性抜群のまとまりあるトーンを生み出します。
  • 彫刻のような佇まい: 無機質な機材が並ぶスタジオにおいて、手作業による優しい曲線と木目の質感が洗練されたアクセントになります。
  • 体に寄り添うエルゴノミクス: くびれの位置を工夫したことで太ももに自然と収まり、長時間の作曲作業でも肩や身体に負担をかけません。

まるで現代アートのように美しいギターが常に目に入る場所にあれば、自然と手にとる回数も増えます。ソファの下のケースに仕舞い込まれることなく、光を浴びながら、新しいコード進行が生まれる瞬間を静かに待っています。

FAQ

スタジオでの楽曲制作において、なぜ定番のドレッドノートではなく洋梨型のギターを選ぶのですか?

洋梨型のシルエットは単なる奇抜な見た目ではありません。絞り込まれた上部と広がりのある下部が生み出す輪郭の際立った中音域は、過度なイコライジングをしなくてもマイク乗りの良いサウンドを記録できます。また、インテリアの一部として飾っておけるため、ひらめきを感じたときにケースから出す手間なくすぐ演奏できます。

伝統的な木工技法と3Dプリンティングはどのように組み合わされているのですか?

木材の削り出しに入る前段階として、FDM方式の3Dプリントで実物大モックアップを作成し、膝の上に置いた際の心地よさを追求しました。さらに、高精細なレジンプリントでカスタムブリッジピンやロゼッタ装飾のマスター金型を製作。現代技術による精密さ、そしてシトカスプルースやウォルナットといった伝統的木材の味わいを融合させています。

このギターの音色と見た目を形作っている木材は何ですか?

トップ材(表面板)には単板のシトカスプルースを採用し、明るく輪郭の鮮明な音の飛びを実現。サイド&バック(側面・背面)にはアメリカンウォルナットを使用しています。ウォルナットの深みのある暖かい響きと、光を受けた際に際立つ美しいダークな木目が、この楽器ならではの存在感を生み出しています。

体型やレフティ(左利き)に合わせてカスタマイズすることは可能ですか?

はい、可能です。デジタル設計モデルを活用してプロトタイプを作成しているため、木材を切り出す前に、奏者の体格や手の大きさに合わせてネック形状、スケール長、ボディラインを柔軟に微調整できます。